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この国の人々を”平和ボケ”と揶揄するひとがいます。嘆くひとがいます。ならば、「平和」の尊さを知るためには、「戦争」を体験しなければならないのでしょうか。それは違います。

 

 日本は、75年もの長きにわたり戦争に巻き込まれることはありませんでした。今、この時にも世界のどこかで、戦争により何百人、いや何千人もの何の罪もない人々がいのちを落としています。世界には、生まれてこの方、「平和」の美しさを知ることなく育ち、そして死んでゆく子供たちがたくさんいます。

 

奇跡とも呼べる75年。それはまた、私たちが戦いによってひとつのいのちも奪わず、ひとつのいのちも失われなかったことを意味しています。「平和」を国の基本理念に据えた日本、そして「平和」しか知らない今の日本人を、私たちは誇りに思うべきです。何ら恥じることはありません。”平和ボケ”などとしたり顔で批判するひとは皆、平和な世界に安住している人々です。

 

「戦争をしない、といった決断は、決してたやすいものではありません。想像を絶するほどの忍耐力と持久力が求められます。それでも、これからの百年、二百年。この国がこれまでと同じように戦火を交えることがなければ、日本は、世界の国ぐにから真に尊敬される国となるでしょう。なぜならば、力で相手を屈服させない。それこそが、人類だけに与えられた「英知」というものだからです」(拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』の「あとがき」より)。

 

 私たちは、日本国憲法により「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」と決意しました。この国が、人類史において確固たる足跡を残せるとすれば、それは「戦わずして平和を維持した唯一の国」となった時です。あと50年、100年かかるかも知れない。しかしながら私たちの不断の努力によって、必ずやその日はやって来ます。これから続く75年は、すでに今日から始まっています。

 

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