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 昨年4月8日と今年1月7日にこのブログでご紹介した寄生虫感染症薬『イベルメクチン』(Ivermectin) が、漸くマスメディアでも取り上げられ始めています。ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智 北里大学特別栄誉教授が微生物(放線菌)から発見した物質アベルメクチンから作られた『イベルメクチン』の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する増殖抑制効果が、ここに来て注目を集めています。この薬剤は、オンコセルカ症や象皮病などリンパ系フィラリア症といった寄生虫による感染症に劇的な効果を上げ、これまで何億人もの人々の命を救って来ました。

 

今月10日に衆議院第2議員会館で開かれた「医療系議員団 新型コロナ対策会議」第44回 勉強会(本部長 冨岡勉) に参加した北里大学 大村智記念研究所の花木秀明 感染制御センター長・教授は、『イベルメクチン』の投与によって初期治療であれば82%の患者に改善が見られたと発表しています(予防効果は89%)。ただ、これまで356名の研究者によって44件の治験が実施されていますが(被験者 15,420名)、日本国内ではまだ1件の治験しか行われていません。そのため、2月17日の衆院予算委員会で立憲民主党の中島克仁議員から質問された菅首相は「日本にとって極めて重要な”治療薬”だと思っている。最大限努力する」と答えたものの、厚生労働省による承認プロセスは進んでいません。

 

『デイリー新潮』(3月14日配信) の取材に応じた大村名誉教授は、「治験には時間がかかりますが、海外のデータが豊富なのだから、日本で治験しなくてもいいのではないか。専門家が数字を出して、たしかに効いていると発表しているのだから、それをもって特例承認してほしいです。ここで使わなければ、なにのための特例承認の制度なのでしょうか。治験を待っていたら、亡くなってしまう人がいるのです」と答えています。端的に云えば『イベルメクチン』は、コロナウィルスのタンパクを核内に運ぶインポーチンという移送物質の働きを阻害する効果があるとされ、結果、ウィルスタンパクが核内に入れず複製出来なくなる、といった作用機序が期待されています。

ここで重要なのは、『イベルメクチン』が米ファイザー社や英アストラゼネカ社製のいわゆる”ワクチン”ではなく、”治療薬”であることでしょう。少なくとも現時点において「効果がない」と結論付けた論文がひとつもないことも大きいと云えます。加えて『イベルメクチン』は、これまで40億人もの人々が服用した薬剤であるため(適用量の投与であれば) 安全性については立証されており、国外では多数のジェネリックが流通していることから、経済的に貧しい国であれ、誰でもすぐに入手出来る環境が整っている、といったメリットもあります。

 

一方では一昨日、欧州医薬品庁(EMA)が、実験室研究では新型コロナウィルスの複製を阻止する可能性は見出せたものの、そのためには現在承認されている用量よりもかなり多い投与量を伴う同剤の血中濃度を必要とするため、現時点におけるエビデンスでは新型コロナウイルスの予防・治療を推奨するだけの裏付けに乏しい、との見解を発表しています。

また、米食品医薬品局(FDA)も、今月8日に『イベルメクチン』は承認用量を服用した場合においても、抗凝固薬など他の薬剤と相互作用することがあると指摘。過剰摂取した場合には吐き気や嘔吐、下痢、アレルギー反応(かゆみや蕁麻疹)、発作等を起こすことがあると注意喚起しています。

   そのため、常識的な投与量であっても新型コロナウイルスの予防・治療に有効であることを証明するためには、より信頼性の高いエビデンスを揃えることが最重要課題であり、ここは製造元の米メルク社も日本政府も、『イベルメクチン』の臨床試験に積極的に関与し、一日も早く結論を導き出すことが求められます。

 

ワクチン投与によって果たして新型コロナウイルス(変異型を含む)に対する免疫が出来るのかどうか、未だ予断を許さない状況が続いているため、国内外から『イベルメクチン』を”特効薬”として推す声が日増しに高まっています。手遅れになる前に、迅速かつ適切な臨床試験が進められることを願わずにはいられません。

 

詳細は、こちらの北里大学 大村智記念研究所 感染制御研究センター・感染創薬学講座の公式ホームページをご覧下さい。

 

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