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今年も、広島市立基町高校・創造表現コースの「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトがスタートを切りました。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、被爆体験証言者と生徒たちとの対面での打ち合わせは今月から取り止めとなっています。また例年、年末から年始にかけて広島国際会議場で催されていた『原爆の絵画展』も開催中止を余儀なくされました。誠に残念ではありますが、広島市では感染が急速に拡大しているため健康管理上、適切な処置であると考えます。

 

ただ、今春には同校も臨時休校となり、同プロジェクトも厳しい事態に追い込まれましたが、生徒たちは被爆体験証言者と電話やメールでやり取りを繰り返すなど、様々な工夫を凝らしながら見事に15点の作品を完成させています。

今年も18名の生徒たちが10名の被爆体験証言者と真正面から向き合い、19点の制作に取り組んでいます。取り巻く環境が厳しければ厳しいほど、主体的に知恵を絞ることにもなります。物理的な 3密を避けながらも、精神的にはより密度の高い関係を築き、結果的に双方の想いが余すところなく反映された卓越した作品群になるだろうことは疑う余地がありません。

 

此の度、同コースにおいて今夏完成した15点の作品について、被爆体験証言者と作品を手掛けた生徒たちが共に登壇し、説明を行った完成披露会 (7月) の様子を収めた動画が初めて公開されました。それぞれの被爆体験が語られるだけではなく、自信を持って感想を述べる生徒たちの姿からは、被爆体験というバトンがしっかと次世代へと手渡されていることを実感することが出来ます。

 

同プロジェクトは、拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』が今年度、第66回「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書〈中学校の部〉に選出されたこともあり、全国の教育関係者の皆様にも広く知って頂くことが出来ました。加えてこの映像自体、優れたドキュメンタリーとして後世に残って行くことでしょう。是非、ひとりでも多くの皆様にご覧頂き、「記憶」を「記録」することの意義、そしてこのプロジェクトの可能性について想いを馳せて頂ければ幸いです。

被爆体験証言者をリレーのアンカーにしない。私たちが平和という名のバトンをいつまでも、どこまでも渡し続けられるように。

 

広島市立基町高等学校「原爆の絵」解説動画 2020 (1/4)

広島市立基町高等学校「原爆の絵」解説動画 2020 (2/4)

広島市立基町高等学校「原爆の絵」解説動画 2020 (3/4)

広島市立基町高等学校「原爆の絵」解説動画 2020 (4/4)