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広島市立基町高校・創造表現コースの「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトでは、どのような作品が描かれているのか教えて欲しい、観てみたいといった声が多数寄せられているため、所蔵されている広島平和記念資料館の許諾を得て、過去13年間に131名の高校生たちによって描かれた152点もの作品群の中から数点を順次、(拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』に収録されていない作品を中心に) ここでご紹介させて頂いています。

 

『少年の思い』 作/佐々木成美 所蔵/広島平和記念資料館 (2007年度)

 

   原爆に遭い、気がつけば倒壊した家の前に立っていた被爆体験証言者の奥田榮さん。周囲には、焼け爛れた人たちがうずくまっていたと云います。奥田さんは、当時の生き地獄を想い出して涙を流しますが、被爆時の様子を立派に描写してもらい感謝していると仰います。

広島で生まれ育った佐々木さんは、小学生の頃から平和学習などで原爆の話は毎年聞いて来たため、取り組みやすいと思ったものの、自分が知らなかった恐ろしい出来事を知り、どう描写すればいいかわからず、何度も筆を止めざるを得なかったと云います。絵の制作を通じて、自分が現実の 1割も知らなかったことを痛感し、もっと学ぶべきだとも思ったそうです。