20201008.jpg
 

 

まだまだ続くダンス天国っ♪ ラテン・ダンスと云えば、何だかんだ云ったところでタンゴ(Tango)を外すわけには行きません。アルゼンチン共和国の首都ブエノスアイレスを訪れたのは、かれこれ20年以上も前のこと。南米の他都市と同じく十分に治安は悪けれど、”南米のパリ”と云われる風情ある街並みにはひどく魅せられました。

 

   タンゴは1880年前後に、ブエノスアイレスと隣国ウルグアイ東方共和国の首都モンテビオの間を流れるラ・プラタ川の沿岸地域で生まれました。荒んだ移民たちが集まる港町ラ・ボカ(La Boca)の酒場や売春宿で、ダンスに興じる男女が編み出した妖艶なステップ。音楽的にはアフリカ由来のカンドンベ(Candombe)やスペインの影響を色濃く残すハバネラ(Habanera)、ポーランドのマズルカ(Mazurek)などが絡まり合い、融合して産み落とされたと云われています。私の良く知る横浜、横須賀、神戸然り、港町には猥雑さがとても良く似合う♪

 

   今日、ご紹介するパフォーマンスは、ミゲル・アンヘル・ゾットさん(Miguel.A.Zotto)さんとダイアナ・ガスペロさん(Daiana Guspero)のペアダンス。1958年生まれのゾットさんは、80年代後半に米ブロードウェイで大ヒットを記録したミュージカル『タンゴ・アルゼンチーノ』におけるパフォーマンスで名声を博し(この舞台、実は私もニューヨークで拝見しています♪)、以降、世界各国の芸術祭やショーでパフォーマンスを披露するまさに”タンゴの顔”。振り付けからショーの構成まで幅広く手掛けるアルゼンチン・タンゴの第一人者です。

 

 タンゴの魅力は、何と云っても”足技”の妙。摺り足でツツッーと近づいてはススッと離れ、密着すると一気にガンチョ(Gancho: 「鍵」という意味)。互いの足を絡めて情熱的なアブラッソ(Abraco: 抱擁)へ。「ふっ。この娘は俺に気があるな」と油断させておいて、すかさず強烈なサカーダ(Sacada:蹴り上げる動作)を喰らわす、という恋愛の機微が物の見事に表現されています。

この映像は、斜め上からふたりを捉えた非常に珍しいショット。世界最高峰の”足技”を心ゆくまでご堪能あれ。Cabeceo, señoritaEre una belleza!