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  ダンス音痴のニッポンの皆さ〜ん。お元気ですかぁ〜。踊りと云えば、K-POPのようにスタイリッシュで計算され尽くしたヒップホップダンスが世界を席巻している、と思い込んではいませんか? いやいや。世界はもっと広くてさらに奥深い♪

  今朝ご紹介するダンサブルなナンバーは、南アフリカ共和国出身のシンガーでDJでもある Master KGさんとシンガーソングライター ノムセボ・ジコデさん (Nomcebo Zikode) がコラボした『ジェルサレマ』(Jerusalema) です。ちょうど2年前の11月29日にリリースされたこの曲は、僅か1週間で再生回数が100万を超えアフリカ全土で大ヒットを記録。その直後に、世界中をパニックに陥れた新型コロナウイルスの感染拡大が始まりました。ロックダウンを余儀なくされた欧米各国を始めとする世界中の人々の心を揺さぶったのがこの曲です。子どもたちやコミュニティの仲間たち、会社の従業員たちが皆で踊る動画”ジェルサレマ・ダンス・チャレンジ”が自然発生的に生まれ、一大ブームを巻き起こしています。

 

  この曲、ハウス・ミュージックのスタイルを取ってはいますが、同国からジンバブエ共和国南部にかけて居住するズールー族の母語イシ・ズールー語(isZulu)で歌われる歌詞は極めてスピリチュアル。ゴスペルを思わせる祈りにも似た深遠さを湛えています。云うまでもなく、タイトルの” ジェルサレマ”は、「聖地エルサレム」を指しています。

 

〽エルサレムは 私の聖地

神よ 導き給え

私と共に 歩まれん

どうか 私を 

ここに置き去りにはしないで

エルサレムは 私の聖地

 

  こうした”魂の救済を求める”宗教的な文言が、欧米でも受け入れられた要因のひとつであったとも云われています。折れかかった人々の心を繋ぎ止め、シンプルなステップで結びつけた『ジェルサレマ』は後世、新型コロナウイルスの時代を代表する名曲として語り継がれることでしょう。

 

最初の”ジェルサレマ・ダンス・チャレンジ”は、ウガンダ共和国のNGO「スマッシュ・ダンス・クルー」(Smash Dance Crew)に属する小・中学生たちによる圧倒的なパフォーマンスです。同国ではエイズを始めとする伝染病や貧困、内戦によって約240万人もの孤児たちが生まれています。このNGOは、子どもたちの才能を伸ばすことで、彼らの夢を実現させる活動を続けています。

こちらも同じくウガンダ共和国のNGO「マサカ・キッズ・アフリカーナ」(Masaka Kids Africana)がケアしている親を失った幼児たちが踊る『ジェルサレマ』。この施設では子どもたちにシェルターや食料、衣服を提供するだけではなく、ダンスや歌を通じて生きる希望を与えています。

オランダ王国ナイメーヘン市にあるラドバウド大学医療センターでも”ジェルサレマ・ダンス・チャレンジ”が行われました。この映像がアップされたのは、ちょうど新型コロナウイルスが猛威を奮い、医療従事者が命懸けで闘っていた時期に当たります。束の間の休息を楽しむ彼らの姿に触れると、改めて医療従事者の献身的な努力に対する感謝の念がこみ上げて来ます。