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お陰様で一昨日、開催された講演会『過去に学び、未来を描く。』を無事、終えることが出来ました。新型コロナウイルスの感染が未だ収まらぬ中、会場に足を運んで頂いた皆様、有り難うございました。連休初日だと云うのに全国からリモート参加して頂いた皆様、有り難うございました。そして、開催準備に奔走して下さった主催者の子どもの本・九条の会の皆様、大変お世話になりました。少しでも、ひとりでも多くの皆様に広島の経験、そして広島市立基町高校の生徒たちの試みを知って頂けたとすれば嬉しい限りです。

 

 

拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた86日の記憶』についてお話する講演では、可能な限り高校生たちが描いた絵を観て頂くように心掛けています。しかしながら、作品をご紹介する件に差し掛かると、被爆体験証言者の皆様がこれらの光景を目の当たりにした時の心情、そして高校生たちが一筆、一筆描いた想いの丈が脳裏を過り毎回、言葉に詰まり、どうしても落涙してしまいます。講演者としては、誉められたことではありません。

 

 

ただ、こうした昂ぶる感情が消え失せ、淡々と、まるで学校の授業のようにスラスラと説明が出来るようになった時には、講演は自ら辞すべきと考えています。被爆後の数年間、辛うじて生き残った方々は膨大な遺体と遭遇したことから、無残な遺体を見ても何も感じなくなっていたと云います。弔う気持ちさえ失っていたと云います。そうはなりたくない、なるべきではない、といったこのプロジェクトの一語り部としての、ささやかな矜持です。それまでに、幾つのバトンが渡せるでしょうか。

 

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