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広島市立基町高校・創造表現コースの「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトには、どのような作品が描かれているのか教えて欲しい、観てみたいといった声が多数寄せられているため、所蔵されている広島平和記念資料館の許諾を得て、過去13年間に131名の高校生たちによって描かれた152点もの作品群の中から数点を順次、(拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』に収録されていない作品を中心に) ここでご紹介させて頂いています。

 

『家族の火葬』 作/河本羽菜日 所蔵/広島平和記念資料館 (2018年度)

 

被爆体験証言者の末岡昇さんとご両親は、原爆の爆風によって倒壊した自宅に、原爆投下から12日後に戻ります。天井を支えていた太い材木の下敷きとなって砕けた祖父母の遺体は、火災によって燃え尽きていましたが、白骨化した一部が残っていたと云います。父親が遺骨を瓦で隠し、数日後、戻って3人で遺骨を掘り起こすと、瓦礫を集めて荼毘に付しました。

末岡さん自身、それが数日前まで共に暮らしていた祖父母の遺骨だとはなかなか信じられなかったこともあり、絵にするのは難しいと考えていました。河本さんも、これまで野外での火葬になど立ち会った経験がないため、遺骨の大きさや煙の量など想像するのに苦労したと云います。