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  首都ワシントンD.C.に本部を置く米航空宇宙局(NASA)は、大別すると研究、実験、組立・発射を担うセクションから成っており、全米各地に関連施設があります。最も良く知られているのは、宇宙船の発射場があるフロリダ州のケネディ宇宙センター(KSC)。ちなみに同センターの名称は、「我々はこの60年代が終わる前に月へ行く」といった名演説によって、有人月面着陸計画を米国の新たなフロンティアと位置づけたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された一週間後に、彼の偉業を讃えて命名されています。

 

続いて宇宙船の飛行管制(ミッション・コントロール)や宇宙飛行士たちの訓練が行われるテキサス州ヒューストンのジョンソン宇宙センター(JSC)も馴染みがあります。その他では、1,000名以上のエリート研究者を集結させ、宇宙空間に関する最先端の研究開発を行っているメリーランド州のゴダード宇宙飛行センター(GSFC)がNASAの"頭脳"といった位置づけとなります。私はこれらすべての施設を訪れましたが、特に地球環境やオゾン層の取材ではGSFCにお世話になりました。

 

昨日は、有人宇宙船スペースシャトルの取材について書きましたが、宇宙飛行において「有人」か「無人」かは、野球に例えればリトルリーグとメジャーリーグほどの違いがあります。有人宇宙飛行の場合には、乗組員を安全に地上へ帰還させることが絶対条件となります。そのため、運航技術のみならず宇宙空間における生体の生命維持はもちろんのこと、健康や心理状態の管理、果ては排便のノウハウに至るまで、ありとあらゆる最先端技術と学問的知見が総動員され、天文学的な予算を要します。

今月16日には日本人宇宙飛行士 野口聡一さんを乗せた宇宙船『クルー・ドラゴン』が打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)へ向かいました。翌17日には無事 ISSとのドッキングに成功し、野口さんを含む7名の”ライト・スタッフ”は、これから半年間にわたり ISSで生活を共にすることとなります。

 

 

本日は、2011年7月に打ち上げられたスペースシャトル計画最後のフライトとなった『アトランティス』(STS-135)と今回の『クルー・ドラゴン』それぞれの ISSとのドッキング映像をお送りします。コックピット内の機材や宇宙服、ミッション・コントロール・センターとの交信の様子、映像の解像度などを比較しながら観ると、僅か10年足らずの間に驚くほど大きな進化を遂げていることがわかります。宇宙空間には悠久の時間が流れています。ゆったりとした気持ちでご覧下さい♪

 

スペースシャトル『アトランティス』(STS-135)とISSのドッキング(14:00〜)をコックピットから撮影したライヴ映像。徐々にISSが近づいて来る様子やドッキング後、乗組員が”宇宙空間”で宙に浮きながら再会を喜び合う模様が楽しい。

『クルー・ドラゴン』とISSのドッキングを捉えたライヴ映像。コックピットの様子はまさにスタンリー・キューブリック監督の名作『2001年宇宙の旅』(A Space Odyssey)♪