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高市早苗内閣総理大臣とは同世代ということもあり、その言動には屡々こちらの方が気恥ずかしい思いにさせられます。以前、彼女の英語力について「英会話が不得手な高齢者特有の妙にバタ臭いイントネーションを意識的に交えて話す癖がある」と指摘しました。この年代の日本人にあるあるの”巻き舌信仰”、雑誌『POPEYE』、『Olive』世代特有の米国への憧れがついつい表に出てしまう。私も米大学へ留学する以前は、どこにでもいる英語が不得手な一高校生であったため、その感覚はイタいほど良くわかります。

 

もうひとつ高市総理大臣に顕著な”癖”は、やたらと演説に名言を引用したがる点でしょう。昨年10月24日の所信表明演説には幕末の思想家 吉田松陰の言葉「事を論ずるには 当に己れの地 己れの身より見を起こすべし 乃ち着実と為す」を挿入し、12月17日の記者会見では松下政経塾が教訓に掲げる『五誓』のうち「素志貫徹の事」を誇らしげに披露したかと思えば、同月28日の臨時国会における所信表明演説に至っては聖徳太子の『十七条の憲法』から「事独り断む可からず 必ず衆と与に宜しく論ふ可し」を、ここぞとばかりに朗誦して見せました (第十七条。原文「夫事不可濁斷 必與衆宜論 少事是輕 不可必衆」)。

「さすがは内閣総理大臣だけあって博識だ」と感嘆された方もいらっしゃるでしょうが、これもある意味、彼女の西洋信仰の表れとも云えます。私は拙著『日本人の誇りを呼び覚ます 魂のスピーチ』を著すにあたり近現代史における日本人による名演説を渉猟しましたが、我が国の政治家は、名言の引用は聴衆に気取った印象を与えるため極力避けて来た系譜があります。

一方、欧米の為政者はスピーチに彩りを添えるべく頻繁に名言を用います。高市総理大臣は、こうしたある意味スカした、バタ臭いアプローチでこれまでの抑揚に乏しい総理大臣の演説との差別化を図ろうとしているかのようにも見受けられます。

ただ、この名言の扱いは諸刃の剣で、例えば英国の首相が英文学における巨人 ウィリアム・シェイクスピアの戯曲から名セリフを引用すれば、教養がないと嗤われてしまいます。と云うのもシェイクスピア作品は、あくまでも大衆文学と位置付けられているため一国のリーダーたるものソクラテスやプラトン、せめてセネカの言説からセレクトすべきというわけです。こうした観点から高市総理大臣のチョイスを改めて見直してみると、引用そのものは的を射てはいるものの、熟考を重ねて捻り出したというよりは『名言ことわざ辞典』から抜き出して来たような安直さがどうしてもつきまといます。これはこれでまた気恥ずかしい。

 

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高市総理大臣は就任以来、世論調査において記録的な支持率を維持しているため、野党を始め自由民主党の議員たちもブーメランを怖れて、あからさまな批判は差し控える状況が続いています。ではなぜ、彼女はこのような”熱狂的支持”を得ているのでしょうか? マスメディアもその”魅力”を分析し切れず右往左往しているようです。責任ある積極財政? 中華人民共和国に対する強硬姿勢? いやいや。そのような高度な政治判断ではありません。

これも学生時代に湘南で、国道134号線を数百台で駆け抜ける暴走族ピエロやホワイトナックルと幾度も相対した経験によって得られた皮膚感覚ですが、高市総理大臣の言動からはそこはかとなく当時の”レディース”気質を感じ取ることが出来ます。「思ったことはストレートに云う」、「ハキハキ答える」、「既成概念に囚われない」。リーゼントをかっちり固めたとっぽいヤンキーたちはすでに巷から姿を消してしまいましたが同じ気性を持つ、または憧れる”ド派手な変革を求める老若男女”は未だ全国に数多く存在しています。

南アフリカ共和国で11月に開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に向かう機内で、高市総理大臣がXに投稿した「外交交渉でマウント取れる服、無理をしてでも買わなくてはいかんかもなぁ」という一文が注目を集めましたが、ブルーを基調にしながらも今ひとつ垢抜けないファッションセンスに昔懐かしいバブル経済期の名残を否応なく嗅ぎ取ってしまうのは、同世代を生きた者の性でしょうか。

 

他方、高市総理大臣を好まない、敵対する方々には部活動を見下す”帰宅組”と相通じる臭いが漂います。小賢しい理屈を捏ねくり回したところで、庶民の賛同など到底得られはしません。体育会系が見せつけるリズム感が乏しい上に、”帰宅組”特有のひ弱さ、横の繋がりの脆弱さが何とも煩わしい。”草の根運動”と称された実質的な連帯は1974年 (昭和49年)、ベトナムに平和を! 市民連合 (ベ平連) が解散して以降、この国からは消滅してしまいました。

シャバ僧とタイマンを張る前に、仲間内でガンを飛ばし合っているようではお話になりません。能書きを垂れる暇があったらチョーパンのひとつもかますくらいの土性骨がなければ、とてもではありませんがレディースに一泡吹かせることなど出来やしません。高市政権打倒を叫ぶのであれば、まずはいかにしてヤンキー文化が衰退したかを研究されることをお薦めします。

また高市総理大臣には、どうせなら「俺は俺の道を行く!」 (漫画『湘南暴走族』より) くらいのぶっ飛んだ”名言”を吐いて頂きたいものです。

 

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