長崎に原爆が投下されてから74年を経た昨年8月9日、135年の歴史を誇る老舗書店『教文館』様の児童書専門フロア「子どもの本のみせナルニア国」において(東京・銀座四丁目)、拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』の講演会が開催されました。此の度、同国が改めて、拙著を「ベスト・ノンフィクション」として紹介して下さいました(下の写真かURLをクリックして頂ければご覧頂けます)。
有り難いことに「本書は奇跡のような記録」とのお褒めの言葉を頂きました。「次世代と描く原爆の絵」の”語り部”として、これほど嬉しいことはありません。実際、私自身もこの作品は、広島の地に眠るどなたかに導かれて筆を取ったかのような不思議な想いに駆られています。もしも私が10年前に被爆者の皆様にお話を伺っていたとすれば、被爆当時すでに成人されていた方々が中心となっていた可能性が高く、例えばあの日「米穀通帳はあそこ置いていた」であるとか「会社の同僚がここで右足を切断した」といった”大人の体験談”となっていたはずです。そして私が10年後に興味を持ったとすれば、残念ながらもう、被爆者の皆様から直接お話を伺うことは…、不可能となっているかも知れません。
被爆当時10代であった皆様の体験を、今、10代の子供たちが絵画として記録する。それを10代の子供たちが本として読む。こうした”三角関係”、または三位一体の関係はいつでもない、今でしか実現出来なかったように思います。こうした視点から被爆地・広島を書いたノンフィクション作品はこれまでになく、おそらく今後も出ることはないでしょう。
私は、奇跡の瞬間に巡り合わせて頂いた作家の責務として、これからも同プロジェクトを語り継いでまいります。広島の地に眠るどなたかが、背中を押して下さっているように感じています。ナルニア国のスタッフの皆様、本当にありがとうございました♪
昨年8月9日に開催された「子どもの本のみせナルニア国」における講演会の様子。
https://www.kyobunkwan.co.jp/narnia/archives/weblog/c4254ea5