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広島市立基町高校・創造表現コースの「次世代と描く原爆の絵」プロジェクトには、どのような作品が描かれているのか教えて欲しい、観てみたいといった声が多数寄せられているため、所蔵されている広島平和記念資料館の許諾を得て、過去13年間に131名の高校生たちによって描かれた152点もの作品群の中から数点を順次、(拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』に収録されていない作品を中心に) ここでご紹介させて頂いています。

 

『死んだ我が子を背負う若いお母さん』作/津村果奈 所蔵/広島平和記念資料館 (2015年度)

 

被爆体験証言者の岸田弘子さんの目は、罹災者の列に並んだ若い母親の姿に釘付けとなりました。血まみれになったその母親は、誰が見ても既に息絶えている子どもを背負っていました。それでも彼女は、「誰か、この子にママ(ご飯)食べさせて下さい。水を飲ませてやって下さい」と、必死の形相で道行く人々にすがるのでした。誰も、どうにもしてあげられない。誰もが、自分のいのちを守ることに精一杯だったのです。

 

岸田さんは今も、「目を覚ましてよ。起きてよ」といった、その母親の声なき叫びが聞こえるといいます。何という生き地獄でしょう。人間の尊厳とは何か。「生きる」とはどういうことなのか。観る者に、重い問いを突きつける作品です。

 

 

明後日から東京・銀座「ギャラリー・アートグラフ」(中央区銀座2-9-14 銀座ビル1F)にて『ヒロシマの高校生が描いた「原爆の絵」展 in 銀座』が開催されます。原画ではなく約20点の特製パネルでの展示となりますが、この機会に是非、これらの作品に触れて頂ければ幸いです。

私も88() 15:00から拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた86日の記憶』のサイン会のため在廊していますので、皆様にお会い出来ることを楽しみにしております(私への取材をご希望のマスコミ関係者の皆様は、メッセンジャーまたはメールにて事前にご連絡下さい)