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 血まみれになった正義の女神(テミス)がデモンストレーションの先頭に立ちます。

 

第49回 衆議院議員総選挙の投開票日であった昨日、投票を終えた私は、ミャンマー連邦共和国の国軍支配に反対する世界的ネットワーク グローバル・ミャンマー・スプリング・レボリューション(GMSR)が主宰したウォーキング・マーチに立ち会っていました。

 

午後1時30分、東京・新宿。新宿区立新宿中央公園には早くも約300名もの在日ミャンマー人やボランティアスタッフたちが雨天にもかかわらず集結していました。皆、追悼の意を表す黒い衣装に身を包み、その右手首には闘いの決意を示す赤いリボンが結ばれていました。去る5月2日に東京・銀座で行われたマーチング・ラリーと同じく参加者の主体はZ世代で、言論統制に抗議すべくマスクに「×」をペイントするなど、各人が創意工夫を凝らしてこの日を迎えました(今年5月7日の投稿『春の革命が、五月晴れの銀座を染めた。Spring Revolution Has Come Here in Tokyo』も併せてご覧下さい)。

 

   具体的な企業・組織名を挙げて国家統治評議会(SAC)との関係を断つよう訴えかけていました。

 

午後2時30分、一団は新宿駅目指してデモンストレーションを開始。今回は、不当に拘束されている民主化運動の活動家たちの即時解放を求めると共に、我が国を含む国際社会に対して国軍および関連企業への財政支援を停止するよう呼びかけることがテーマとなっていたため、前回に比べて日本語のシュプレヒコールが多かったように感じられました。

「私たちのリーダー、アウン・サン・スー・チーを釈放せよ」、「日本は、国軍関連企業を援助するな」。

 

 表現の自由を奪われ、身柄を拘束されている”仲間たち”への連帯が示されます。

 

前回同様、新型コロナウイルス対策は万全で、警察官とも密にコンタクトを取りながら整然と行進は行われ、道すがら三本指を立てて賛意を表す人々と出会うことも少なくありませんでした。大田区に住むナン・スーさん(仮名)は、

「今でも国家統治評議会(SAC)は、民主化を求める国民を徹底的に弾圧し、殺戮を繰り返しています。なぜ、アジアの一員である日本は見て見ぬふりをしているのでしょう。軍事政権を支えている資金源を速やかに断ち切って欲しい」と、涙ながらに訴えます。

 

 祖国を遠く離れ、”仲間たち”が次々と斃れて行くのを傍観せざるを得ない彼らの哀しみとはいかほどのものか。

 

今回の衆議院小選挙区の投票率は、55.78%という低水準であったと伝えられています(共同通信の昨日午後9時段階の推定)。世界には、ミャンマー連邦共和国のように国民が夥しい血を流しながらようやく手にした選挙権を行使し、決死の覚悟で国民が意思を表明しようとも、暴力を伴う公権力によって無残にも選挙結果が踏みにじられる国が、少なくありません。

その一方で、我が国では半数近くの国民が”投票”という尊い権利を自ら放棄しておきながら、社会格差や生活不安、性差別に苛まれ、怨嗟の声を挙げています。ミャンマー連邦共和国と日本。同じアジアの国でありながらも、”選挙”に対する思いの丈に天と地ほどの違いがあることをまざまざと見せつけられた一日でした。

何かがおかしい。何かが違う…。降り止まない冷たい雨を一身に浴びながら私は、新宿駅の雑踏に佇みながら、得も云われぬ焦燥感に駆られていました。

 

声なき声で訴えかけます。Save Myanmar, Save Our Democracy!