ミャンマー連邦共和国の人々による民主化を求める抗議行動は、まったく衰える兆しを見せていません。治安部隊の無差別発砲による死傷者数が急増するに伴い、デモは治安部隊が行動を起こす前の早朝に行われるケースが増え、一般庶民は文字通りのステイ・ホーム。職場放棄・外出自粛によって市民的不服従運動(CDM) を粘り強く続けています。
本日30日は、「ゴミで抗議する日」とされていました。「クリーン・ヤンゴン」という平時には、街の清掃を呼びかけているヤンゴンのNGOが、家庭にある生ゴミや不要物を早朝、道路や交差点に置きましょう、と訴えました(国軍は昨日、国営放送を通じて「ゴミを出す者は容赦なく攻撃する」と報じています)。「ゴミ」=「軍事独裁政権」の比喩ですが、公道に障害物を置くことで、少しでも治安部隊の行動を妨げるといった主婦の知恵でもあります。コミカルにも映りますが、これは一般庶民の命を懸けた闘いの一端です。デモに参加しない人々は、夜が更けると鍋や缶を叩き、淡々とキャンドル・サービスを行うことで軍政に対する怒りを表しています。
「ゴミで抗議する日」を呼びかけるチラシ。
今朝、ヤンゴン管区タケタ地区の路上に積まれたゴミの山(DVB TV Newsより)。
軍事クーデターから2ヶ月が経過し、こうした全国規模の無言の抵抗は、食料や日用品の欠乏を始め、電気や水道といったインフラの不具合やゴミ収集の停止などによる衛生上の問題、かなりの数に上ると見られている新型コロナウイルス感染者の放置など、社会生活を直撃する様々な”二次災害”をも引き起こしています。
米通商代表部(USTR)は昨日、ミャンマーとの間で2013年に締結した「貿易・投資枠組み協定」(TIFA)に基づくすべての取り決めを即時停止すると発表し、同国産品の輸入関税を特別に引き下げる「一般特恵関税制度」(GSP)の適用条件の見直しにも着手しました。
軍事独裁政権の資金源を断つ施策ですが、こうした措置により最も被害を蒙るのは一般庶民でしょう。救急車や医療関係者にさえ、見境なく発砲を繰り返す治安部隊の前では人道援助も思うように進んではいません。
臥薪嘗胆。今のミャンマー市民の勇気ある行動を言い表すのに、これほど適切な言葉はありません。彼らの行動が"嚝日持久"となる前に、国際社会が一丸となり、暴挙を繰り返す軍事独裁政権に「NO」を突きつけなければなりません。
都市部は文字通りの非常事態に陥っているため、災害時の如く常に用意しておくアイテムのリストがSNSを通じて流されています。家族の再会場所や避難経路の確認、実弾の貫通を避ける土嚢の用意など、アドバイスは多岐に渡っています。
ユニセフの親善大使として、内戦の真っ只中にあったエチオピア連邦民主共和国やソマリア連邦共和国、スーダン共和国を訪れ、戦火に逃げ惑う子どもたちへの支援を訴え続けたハリウッド女優のオードリー・ヘップバーンも、
「不可能なことなどないわ。だって”不可能”という言葉が、『私は、可能』と言っているじゃない」(Nothing is impossible, the word itself says “I’M possible! : 不可を意味する接頭語”im〜”と”I’M”を対比した名言)と云っています(拙著『The Words〜世界123賢人が英語で贈るメッセージ』より)。