20210316-1.jpg
 

 

    軍事クーデターによってミャンマー連邦共和国の政権を暫定的に掌握した同国軍の、市民に対する弾圧が止まらないどころか激化の一途を辿っています。同国最大の都市ヤンゴンのラインタヤ、シュエピタ両地区には全面的な戒厳令が敷かれ、国連のステファン・ドゥジャリク報道官によると、現時点で138名の一般市民が兇弾に斃れ、2,000名を超えるデモ参加者が治安当局によって拘束されています。

 

   なぜかミャンマー情勢に関する日本のマスメディアの露出は極端に少ない。新型コロナウイルス禍により、アジア総局のある隣国タイ王国からの入国が困難であることは十分に理解出来ます。また、外国人ジャーナリストの拘束も相次ぎ、生命に危険が及ぶ可能性が高まっていることも事実です。それでも、情報収集手段はいくらでもあるでしょう。私たちには、この民主主義に対する重大かつ悪質な挑戦を日本国民に広く伝え、同じアジアの一員として軍事政権に対して怒りの矛先を向ける使命があります。

 

   ミャンマー国民は丸腰で治安部隊に対峙し、正義と民主主義を取り戻すため文字通り、身体を張って闘っています。学生のみならず公務員も農民も、高齢者もうら若き女性も、幼児までもが自由と平和の楯となり、血と涙を流しています。冷戦終結後、軍事クーデターの数は激減し、政権転覆の成功率も 2割以下に下がっています。しかしながら、強大な武力に非武装で立ち向かう「市民的不服従運動」(CDM: Civil Disobedience Movement) が勝利を収められるか否かは、国際的連帯が築けるかどうかにかかっています。

   11日に開かれた国連人権理事会で、トーマス・H・アンドリュー特別報告者は、

「殺されているのは父であり息子たちであり、母であり、娘たち、夫であり妻たちです。教育者やエンジニア、学生ら。その半分以上は25歳以下の若者たちです」と、訴えています。そして、

「軍と警察が連携して一般市民に襲いかかる組織的犯罪には、各国が官民一体となって禁輸を含む外交戦略によって圧力をかけ、一般市民に対する残虐行為を国際法で厳しく裁くことが強く求められる」としています。10日には国連安全保障理事会が、デモに対して暴力を行使する同国軍を非難する声明を全会一致で採択しましたが、これだけでこの極悪非道な行為を止められるわけではありません。

 

   ここ数日、治安部隊の暴力に耐え切れず、鉄パイプや刃物を手に持つ若者の姿も目立つようになって来ました。また、カレン民族同盟(KNU)やカチン独立機構(KIO/KIA)といった少数民族の反政府武装組織もこの機に乗じて、武装闘争を激化させる可能性があります。まさに一触即発。警察官や兵士が殺傷される”事件”が起これば軍事政権に、一般市民に対して銃口を向ける格好の口実を与えることにもなり、虐殺がさらに広まる懼れがあります。こうした事態を回避するためにも、一刻も早い対応が望まれます。

   何の罪もないミャンマー国民の命と財産を守るため、CDMの正当性を全人類が改めて確認するためにも私たちは声を挙げ、あらゆる暴力に「NO」を突きつけなければなりません。私たちの平和運動の在り方、姿勢が今、問われています。

 

数回にわたりご紹介しているヤンゴンの独立系テレビ局『Mizzima TV』のYouTubeサイトです。ミャンマー国軍によって免許を剥奪されたにも関わらず、記者らはスマートフォンを手にデモに加わり、治安部隊の非道、市民の決死の闘いを最前線で記録し、インターネット上で報道を続けています。是非、ご覧になってミャンマーの現状を知って下さい。

 

このページのトピック