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花の名が冠された”革命”があります。1974年4月25日、国軍運動(MFA)を標榜する若手将校らが無血クーデターによって48年間続いた独裁政権を倒したポルトガル共和国の「カーネーション革命」。2003年11月22日、選挙結果に不満を抱いたバラの花を手にしたミヘイル・サアカシュヴィリ支持者らが議会ビルを占拠し、市民的不服従運動 (CDM) を実践することでエドゥアルド・シュワルナゼ大統領を辞任に追い込んだグルジア共和国 (現・ジョージア) の「バラ革命」。そして、キルギス共和国において2005年2月と3月に行われた議会選挙の結果、独裁政権を築いていたアスカル・アカエフ大統領の辞任を実現させた「チューリップ革命」。27種類もの野性のチューリップが咲き誇る同国に例え、アカエフ大統領自らが「この国ではフラワー・レボリューションのような事態には決してならない」と力説したことに起因しています。

 

昨日、ミャンマー連邦共和国最大の都市ヤンゴン管区では、治安部隊の弾圧によって尊い命を奪われた”名もなき英雄たち”(Fallen Heroes) を悼み、軍事独裁政権に反対の意を表す「フラワー・ストライキ」が午前6時から行われました。バス停や歩道、電信柱などには、「銃」に対抗して「花」とメッセージが捧げられ、市民たちは、無言の抵抗を続けています。これはロマンチシズムでもシニシズムでもありません。非暴力主義を貫く彼らの、命を懸けた闘いなのです。

 

花言葉の起源は、トルコに伝わるセラム(Selam) だったと云われています。セラムは、花や果物に詩句を添えて愛するひとに贈る麗しき風習。英国のトルコ大使の妻であり『トルコ書簡集』の著者として知られたメアリー・ウォートレイ・モンタギューが、母国の友人にこのトルコ式恋愛作法を伝えたことから欧州に伝播したと言われています。

デイジーの花言葉は「平和」、ダリアは「革命」です。可憐で無口な花たちは、何百万、何千万人ものミャンマー人の熱き想いを伝えることが出来るのでしょうか。

 

 

 

 

 

【写真】 『Mizzima TV』のフェイスブックより転載。