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今年5月の段階でフェイスブックに投稿した通り、大局的ヴィジョンと美学なき安倍晋三首相が昨日、辞任を決意しました。何よりもまずは難病との闘いに専念して頂きたい。これを受けて今後の焦点は、誰が”安倍後”、火中の栗を拾うか、に移りました。

 

新型コロナウイルス終息の兆しさえ見えない中、この7年8ヶ月もの間に積もりに積もった”負の遺産”の後始末をさせられるだけではなく、年末から来年にかけては戦後最大の世界恐慌に、日銀が一定のセーフティーネットを張ったとは云え、我が国も襲われます。

しかも今回の総裁選で選ばれる自民党総裁の任期は1年程度だと云われています。憲政史上、最も無能で不運なリーダーの烙印を押されることは火を見るよりも明らかでしょう。その意味において安倍首相は、持病が原因だとは云え絶妙なタイミングで職を辞したわけですが、余程の唐変木か国士でなければこんな損な役回りを引き受ける者はいません。野党は言わずもがな、自民党にもこれほどの国難を御せるほど腹の据わった政治家はいない。また、国政の要である官僚組織も倫理的、能力的にかつてないほどの危機に直面しています。誰が首相になろうとも我々は、新型コロナウイルス発生以来、政府に頼ることなく民力で何とか乗り切って来た過酷な態勢を継続せざるを得ません。まさに日本国民の民度が試される刻です。

 

私は、安倍政権には憲法改正が出来る能力も胆力もない、と度々書いて来ました。桂馬の高上がりであった安倍首相の辞任による唯一の朗報は、憲法改正が先送りとなることでしょう。政界において「先送り」とは事実上の廃案です。また、「敵基地攻撃能力」という日本国憲法および国際法に抵触するだけではなく、軍事の素人丸出しの安全保障政策も雲散霧消することでしょう(この件については、折を見て書くつもりにしています)。

禍福は糾える縄のごとし。この試練をいかに乗り切り、国を守るか。為政者のみならず、我々日本国民にとっても正念場が近づいています。

 

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