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   早いものでフェイスブックを始めてから、やうやう2年が経過しました。デジタル音痴を自称しつつも何だかんだで、ほぼほぼ皆勤賞でアップロードし続けて来たことになります。「よくもまぁ、毎日書けますねぇ〜」、「それにしても、相変わらず文章が長いですねぇ〜」と、周囲には呆れられますが、私にとってブログは”日記”のようなものなので、さして苦にはなりません。文章量も、書籍の執筆に比べればウォーミングアップ程度であるため10分もあれば書けてしまう。寧ろ、これまでつらつら考えていたあれやこれやを言語化し、新たな発想をメモ感覚で記せる”場”が出来たことが最大の収穫でした。

作家の場合、雑誌などに寄稿するにしても編集部から依頼されたテーマについて執筆するため、何でも自由に書けるというわけではありません。また「書く」という行為は、投手に例えればピッチングと同じ。毎日投げていなければ腕(筆力)は確実に落ちます。ならばブルペンでキャッチボールをしていればいいのかと云えばそうは行かない。SNS上に公開する、つまり試合に出続けていなければプロと云えども実戦感覚は鈍ります。投球術が上達するかどうかはさて置き、継続して登板する”試合”があるかないかは非常に大切なことだとSNSを始めて改めて知らされました。加えて、読んで頂いた方々からすぐさまフィードバックを頂けることも、これまでにはなかった経験です(作家は、読者と日常的に直接交流する”場”というものは有していません)。私には「書籍」というホームグラウンドがあるため、ブログやフェイスブックが唯一のアウトプットというわけではありませんが、今では大切な創作活動の一環となっています。

 

  そんな中、SNSに何が出来るのか? 私なりに挑戦している課題があります。そのひとつが、今も継続的にフォローしているミャンマー情勢です。これまで幾度となくお伝えして来たように今年2月1日、国家統治評議会(SAC)が軍事クーデターを起こして以降、ミャンマー連邦共和国のテレビ局は、国軍の”御用放送局”となった国営放送(MRTV)を除き、放送免許を剥奪され、新聞社も発行を停止させられています。インターネット回線も切断され、以前であればまさに”情報鎖国状態”であり、同国の状況をオンタイムで把握することはほぼ不可能でした。

こうした状況下において、果たしてSNSを通じて現地情報は得られるのかどうか。精度は? 速度は? ミャンマー市民の悲願である民主主義国家の実現を微力ながらもサポート出来ないかと考え、独自の方法でアプローチを開始しました。

 

まずは、現地の匿名ジャーナリストたちが国軍の監視の目を掻い潜って発信し続ける情報を把握し、刻々とアップされる最新ニュースをチェックして行きます。云うまでもなくその中にはフェイクニュースも少なくなく、頼りにしていた情報源が治安当局によって突然閉鎖に追い込まれるといったケースも少なくありませんでした。また、原文はビルマ語であるため、自動翻訳にかけても意味不明の訳文となるため英文変換を経て、他のニュース・ソースとも対照することで裏取りも行いました。

 

結果的に、日本のテレビや新聞よりも1〜3日早く、論考であれば1〜2週間早く発信することが出来ました。もちろんジャーナリストとしては現地で取材にあたるのが一番であることは云うまでもありません。しかしながら、SNSを通じて紛争地帯または災害地における情報収集は可能なのかどうか。一定のノウハウはマスター出来たように思います。今後、非常事態に遭遇した際、何らかの形で役立つこともあるかも知れません。新型コロナウイルスの感染拡大によって、思うように移動、取材が行えない中(あくまでも取材は対面が基本だと考えています)、こうしたSNSの活用法は、私の中ではささやかな進歩だったように思います。