2ヶ月以上にわたり緊迫するミャンマー情勢を速報ベースでお伝えしていることから、ミャンマー市民の民主化運動をサポートするにはどうすればいいのか? 資金援助したいがどこへ送れば良いのか? といったお尋ねを多数頂いております。ご周知の通り2月1日の軍事クーデター以降、同国では国軍ならびに治安部隊によって多数の人々が殺傷され(ヤンゴンの人権団体 政治犯支援協会〔AAPP〕の調べによると昨日段階で769名が死亡)、全国的な市民的不服従運動 (CDM) の影響によりインフラや物流全般が麻痺状態に陥り市民生活が困窮を極めていることから、一日も早い人道援助が望まれます。
最も信頼の置ける組織は、云うまでもなく国際赤十字赤新月社連盟 (IFRC)ですが現在、日本赤十字社は同国への救援金を受け付けてはいません。その理由として、治安部隊がデモ参加者の治療にあたる医療関係者をも攻撃するといった異常事態となっているため、ミャンマー赤十字協会が身動きの取れない状態にあることが考えられます (同会は、国内に330のタウンシップと称される支部があり25万人以上のボランティアが所属していると云われています)。
今年4月1日には IFRCアジア太平洋地域ディレクターのアレクサンドル・マテウ氏が、「応急処置を施すミャンマー赤十字の医療従事者やボランティアが逮捕、または脅迫され、負傷もしている。彼らの財産や救急車も破壊されるなど受け入れ難い状態にある」と報告し「医療従事者は決して標的にされてはならない。彼らには治療が必要とされる人々への無制限の人道アクセスが与えられるべきだ」と批判したように今や、同国は深刻な医療崩壊に直面しています (IFRCアジア太平洋 @IFRCAsiaPacific)。
また、国軍による空爆に晒され、タイ王国との国境エリアに避難しているカレン族の人々への緊急支援についても、物資そのものは大量に集まっているものの、赤十字の許可が得られないため国境を越えることが出来ず、非公式ルートで搬送されるしか手立てがない状態にあるとも報じられています(時事通信4月13日付)。
日本国内でも様々な非営利団体が資金援助の募集を始めていますが、幾多の政治勢力が乱立する現況において信頼に足る組織はどれなのか。昨日、国民防衛軍 (PDF) の設立を公表した国民統一政府 (NUG)が、果たしてこれからもミャンマー市民の信頼を得る政体であり続けられるのか。また、支援物資を貯蔵・搬出・分配するルートが国軍によって妨害されている現在、果たして最も支援を必要としている人々の手に物資が行き渡るのかどうか(銀行窓口は閉鎖されているため、支援金を送金しても現地のATMから引き出せる金額は限られています)。同国を取り巻く状況は極めて流動的であるため今暫く、援助すべき団体は精査する必要があるように思います。
一方、アムネスティ・インターナショナル日本 (Amnesty International Japan)では日本国民からの応援メッセージやビデオメッセージを、衛星放送を通じて現地の人々に送り届けるプロジェクトを、国連総会によって”世界報道自由デー”(World Press Freedom Day)と定められた今月3日から起ち上げています。ツイッターのメッセージに #myanmarneversilenced を付けてツイート、または @amnesty まで送って欲しいとのことです。
または、先にご紹介した東京学国語大学 ミャンマー・ビルマ語専攻の学生やOBOG有志による「ミャンマーの人々を軍事クーデターから守るため、署名に参加してください!」に賛同する方法もあります (https://www.change.org/p/ミャンマーの人々を軍事クーデターから守るため-署名に参加してください-外務省と賛同いただける国会議員の方々に提出します/u/28906106) 。現時点で、同キャンペーンの賛同者は80,614名に達しています。
まずは、あなたの想いをミャンマーの人々に伝えましょう。国家統治評議会(SAC)がマスメディアをコントロールし、ネットも遮断するなど徹底的な情報統制を行ってはいますが、ミャンマーの人々は衛星放送やラジオ、クチコミなどゲリラ的手法を用いて貪欲に情報を収集しています。悲壮な決意を持って、世界に向けて悲惨な状況を発信し続けています。彼らの民主主義を獲得する闘いを多くの人々が支持していること、そして決して孤立しているわけではないことを伝えることは、彼らにとって大きな希望と勇気となるはずです。
「平和」を享受する我々日本人は、各国民が「平和」な社会を築く手助けをする責務を負っています。そうした努力を積み重ねてこそ我々は、「平和」の使徒として認められます。「平和」の上に胡座をかいていたのでは未来永劫、尊敬されることはないでしょう。
アムネスティ・インターナショナル日本(Amnesty International Japan)の紹介動画です。