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ジャーナリストは動いてなんぼ、足を使ってなんぼの稼業です。とは云え、この歳にもなると、どう足掻いたところで人生を逆算して事にあたらざるを得なくなります。これから、何の憂いも迷いもなく、これまで通り、国内のみならず世界を股に掛けて自由に飛び回れるのは、運良く健康を維持出来たとしても後10年プラスαといったところでしょう。

 

世に問いたいテーマはまだ優に10はあります。しかしながらそれらの内、幾つを書籍として世に問うことが出来るか。そう考えると、残された時間は余りにも少ない。いかに万難を排し、有益に時を過ごすか。ひたすら前を向き、自ら信じる道を突き進むしかありません。

 

執筆活動は、云ってみれば臨終間際まで続けることが出来ます。今後、”論評”したり、若者たちを導くお役目を仰せつかることもあるやも知れません。とは云え、それらは率直に云って「余生」でしかありません。”現場”を離れたジャーナリストは、いかなる御託を並べようとも、「歌を忘れたカナリア」でしかない。

口幅ったい云い方にはなりますが、私はこの道に足を踏み入れて以来、一貫して「世のため、人のため」となる作品を紡ぐことを目指して来ました。また、私にしか出来ない仕事しか手掛けない、といった我が儘極まりないスタンスも、幸運なことにもたくさんの寛大な方々に恵まれたお陰で、真っ当出来たように思います。ここまで来ればもう、こうしたポリシーを貫くしかありません。

 

とは云え、取材は私ひとりで出来るわけではありません。取材を引き受けて下さる相手がいらっしゃらなければ一文字も書けない。また、私ひとりで作品を上梓出来るわけでもありません。編集者、そして営業、販売を担って下さる数多くのスタッフ。そして出来上がった作品を、読者に直接手渡して下さる書店員の方々のサポートがあって初めて、使命を全うすることが出来ます。こうした関係者の皆様に対する感謝の気持ちは、歳を経る毎に深まって来たように思います。

 

今年は、様々な意味で新たなスタートを切ることとなります。決して容易ではないテーマに取り組みます。まだ誰も取り上げたことのない題材、切り口、アプローチに挑戦します。例えそれが「大海の一滴」であろうとも、必ずやより良き世界の「一握の砂」となることを信じて。本年もお力添えのほど、何卒宜しくお願い申し上げます。