集英社さんの「imidas(イミダス)」が、拙著『平和の栖(すみか)〜広島から続く道の先に』を改めて、目次と共に紹介して下さいました。

 

4年半余りを費やし書き上げた本作は、在りし日の広島もんの闘いの記録です。原爆が投下された昭和2086日を描いた作品は数限りなくありますが、この被爆地の戦後復興に焦点を当てた一般書籍は、本作が戦後初めてといった評価を広島の書店さんや研究者の皆様からも頂いています。

 

焦土と化した我が街を甦らせるなどおこがましい。少なくとも原爆から生き延びることが出来た人々が雨露を凌げる場所にしたいとの想いから、思想信条を超えて広島の人々が一致団結して立ち上がりました。「平和」を武器に日本政府、GHQに闘いを挑みました。金も食料も何もない。ただ唯一、誇りだけは失わなかったつわものたちの記録です。

 

正直なところ、本作で描いた広島の正の遺産の価値について、広島の皆さんが気づくまでにはあと数年かかるものと覚悟しています。新型コロナウイルスによって経済、社会が停滞・疲弊し、まったく先が見えない今だからこそ、先人たちが命を張って積み上げた復興の軌跡に目を向けて頂きたい。手遅れとなる前に。

 

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