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本日発売の『毎日新聞』紙上に、「毎日新聞社賞」を受賞された橋本花帆さん(福島大学附属中学校3年 )の喜びの声が掲載されています。

 

  昨日お伝えした通り、第66回『青少年読書感想文全国コンクール』(全国学校図書館協議会・毎日新聞社主催、内閣府・文部科学省後援、サントリーホールディングス株式会社協賛)において、拙著『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた8月6日の記憶』の感想文を書かれた橋本花帆さん(福島大学附属中学校3年 )が毎日新聞社賞」を、山下未結さん(京都府宇治市立宇治中学校2年)と土井優理さん(徳島県立富岡東中学校1年)が「全国学校図書館協議会長賞」をそれぞれ、応募総数207万2885編の中から見事選ばれ、受賞されました。おめでとうございます♪ (昨日の各賞受賞者の発表に引き続き、本日発売の『毎日新聞』では、各賞受賞者の喜びの声が掲載されています)

 

  彼女たちの作品を拝読させて頂き、私は不覚にも、また幸福なことにも溢れ出る涙を抑えることが出来ませんでした。そこには、いわゆる知識人と称される人々がまるで人生を悟ったかのような傲慢さで滔々と説く平和論や、運動家が拳を振り上げ声高に叫ぶ手垢のついた観念論から借りて来た「ことば」など、ただのひとつもありませんでした。

 

どこにでもいる中学生が、何の変哲もない日常生活の中で、偶然にも拙著と出会い、見慣れた風景や当たり前にように吸い込んでいた空気に、ほんの少し、僅かな「ノイズ」を感じた。違和感を抱いた。それは何か? 彼らは、自らの生い立ち、経験、身の回りの環境を、素直な目線でつぶさに見詰め直すことで、その「ズレ」を真摯に解き明かして行きます。

そこには、どこにでも転がっている平々凡々な日々を、ささやかな幸せを、一瞬にして奪われた、心の平穏を抹殺された被爆者の皆様が、心の奥から絞り出される「ことば」と、一脈通じる体温、鼓動が感じられました。血の通った誰のものでもない、彼女たちの「ことば」が綴られていました。

 

私は、被爆体験を過去の歴史として忘却の彼方へと押しやるのではなく、我々人類の戒めとして心に刻み、より良き未来を築くための礎とすべき、との切なる願いから拙著を「平和のバトン」と名付けました。

バトンはようやく第一走者から第二走者、そして第三走者へと手渡されたばかりです。恒久平和という名のゴールまでにはまだまだ長い道程が横たわっています。気が遠くなるほどの距離です。うずくまってしてしまいたくなるほどの悪路です。それでも諦めない、挫けない、バトンは手放さない。子どもたちはすでに走り始めました。あなたは? 彼らと並走してもいい、沿道から声援を送ってもいい。その汗は、その声は、必ずや私たちを善き道へと導いてくれる、と私は信じて疑いません。さぁ、一歩、もう半歩、前へ踏み出しましょう。

 

 

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