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親子読書地域文庫全国連絡会議(親地連)発行の『子どもと読書』(3・4月号)に巻頭エッセイを寄稿させて頂きました。「すべての子どもに読書の喜びを」を合言葉に、家庭文庫・地域文庫の連合会として昭和45年に発会した親地会は昨年、50周年を迎えています。

地域や職場で読み聞かせの会や子ども文庫、親子読書会などを続けている父母や教師、学校司書、図書館員の方々によって運営されている同会の機関誌に拙文を載せて頂いたこと、ひとりの作家として大変嬉しく思っております。

 

一昨年、『平和のバトン〜広島の高校生たちが描いた86日の記憶』が刊行され、私はこれまでに 3冊の就学児童向け書籍を世の問うたこととなります。子どもたちに向けた作品には、一般書籍を上梓するのとはまた異なった充実感があります。

ある書店員さんが、児童書の棚の前で本を拡げ、貪るように読み耽る子供たちを見ることは、この上ない幸せだと話して下さいました。そうした純粋無垢な子供たちが、やがて学ランやセーラー服を着て学習参考書を買い求めるようになり、大学へ進むと専門書や哲学書を手に取るようになる。結婚そして出産。あの椅子に座って絵本をめくっていたあの子が、この子が育児書を必要とする歳になり、そしてかつて親しんだあの本を、子どもたちへ

 

本は、人生の手引書です。児童書は、その入口。私の書いた本、私にとっての"子どもたち"が子供たちに読まれ、いつの日にか彼らの子どもたちへと手渡されて行く。感動のサイクルを紡ぐためには、時空を超えた普遍的かつ独創的なテーマがなければなりません。

これまで出版社から幾度も、旬の話題について書いて欲しいといった依頼を受けました。しかしながら私自身、気乗りがしなかったこともあり、結果的に実現することはありませんでした。この歳になって漸く、その理由がわかったような気がしています。

 

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