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日本一の「社歌」を選ぶ『NIKKEI 社歌コンテスト 2025』 (主催 日本経済新聞社) の決勝戦が先月27日、立川ステージガーデンにおいて開催され、株式会社 エフピコ様 (本社 広島県・福山市) のグループ社歌『エフピコ発〜わたしたちの願い〜』が見事大賞を受賞されました。同・グループ社歌は、審査員賞である「弓狩匡純賞」にも選ばせて頂きました♪

 

6回目を迎えた本コンテストに応募して来られる「社歌」のクオリティは年を追う毎に、着実に進化を遂げています。当初は既存の社歌に、社屋や工場の写真を貼り付けただけのシンプルな映像や、新製品のコマーシャルと見紛うような製品名や連絡先をひたすら連呼するといった類の作品も見受けられましたが近年、そうした応募作品と出会うことは少なくなりました。

応募される企業・団体の皆様は、「社歌」とは何か? を大変良く研究されている。まずは「社歌」が、”現在”のみならず”過去”と”未来”を繋ぐ組織体の”主題歌”であるといった基本認識。さらには「社歌」が日本独自の発展を遂げた優れた企業文化である、といった総合的な理解が浸透した結果であると思われます。その意味において、本コンテストによって生まれた「社歌」の再発見は一過性のブームに留まらず、日本企業の寄って立つアイデンティティを見直すムーブメントにも成り得ると、本年の審査を通じて改めて実感致しました。

 

応募総数117件の中から熾烈な予選を勝ち抜き、決勝戦を征した株式会社 エフピコ様のグループ社歌『エフピコ発〜わたしたちの願い〜』は、こうしたコンテストの頂点に立つに相応しい”風格”を備えておられました。老若男女が口ずさめ、一度聴いたら忘れられないメロディーは、「社歌」のあるべき姿と云えるでしょう。また作家として、採点に重きを置く歌詞についても、

 

〽この美しい星に生まれ 生きる喜び分かち合いたい

  明日への架け橋になろう

 

と続き、それが「わたしたちの願い」と結ばれています。食品トレー容器の製造・販売のみならずリサイクルにも積極的に取り組む同社の、地域社会との連携を重視しつつサステナブルな問題解決を試みる姿勢が如実に表れたフックが高得点に繋がりました。個人的には第2節の出だし、

 

〽広島発平和へ 歴史と涙をのせて

  みんな助け合い生きるんだ 勇気ある先人のように

 

という歌詞に心揺さぶられました。今年は”被爆80年”。過去8年余りにわたり広島と契りを結び、被爆の実相のみならず奇跡の復興についても取材・執筆を続けて来た身としては、応援せざるを得ない秀逸なフレーズでした。「決して忘れてはならない」のは原爆被害だけではありません。焦土と化したその地から、血の涙を流しながら復興に尽力された名もなき市民、そして企業人の心意気も歴史の中に埋もれさせるわけには行かない。『エフピコ発〜わたしたちの願い〜』には、地元にどっしりと根を張りながらも、世界へ向けて飛翔する同社の”理念”が物の見事に体現されていました。

また、2019年 (平成31年) の第1回コンテストでは「心に残る音楽賞」を受賞したものの、「最優秀賞」(当時) には届かなかった無念の思いから雌伏5年。満を持して制作した動画の撮影には2,300人を超えるグループ社員とその家族の方々が集まり、1,000人からなる壮大な合唱を披露。審査員の中からも感嘆の声が上がりました。

 

同社の社歌プロジェクト・メンバーの皆様、お疲れ様でした。皆様の想いは、しっかと届きました。そして「社歌」を尊ぶ他社・他団体の手本として、これからも末永く歌い継がれて行くことでしょう。審査員を代表して心よりお祝い、御礼申し上げます。

 

株式会社 エフピコ様のグループ社歌『エフピコ発〜わたしたちの願い〜』。3分過ぎから総勢1,000人からなる圧巻の大合唱を聴くことが出来ます♪